フィリピン・セブ島移住の本音|ビザ、仕事、生活費、親子移住の現実
近年、リモートワークや早期リタイア(FIRE)の流行とともに、フィリピン・セブ島への移住を考える日本人が増えています。しかし、「南国でのんびり暮らしたい!」という理想だけで移住を決めると、後悔することも…。

本記事では、セブ島在住者のリアルな経験をもとに、「移住に向いている人・向かない人」の特徴を本音で解説します。また、ビザ、仕事、生活費、親子移住の現実についても詳しく紹介します。
セブ島移住に向いている人の特徴
① 柔軟な考え方ができる人
フィリピンは日本と比べると「時間にルーズ」「手続きが遅い」など、のんびりした文化があります。イライラせず、「これがフィリピン流!」と受け入れられる人ならストレスが少なく暮らせます。
② 英語(もしくは現地語)を学ぶ意欲がある人
セブは英語留学の地としても有名ですが、移住するなら英語は必須。フィリピン人の多くは英語を話せますが、ローカルの市場や行政機関ではビサヤ語(現地語)が必要な場面も。英語が苦手な場合でもコミュニケーション能力は必須。
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③ ある程度の経済的余裕がある人
セブの物価は日本より安いですが、「日本人向けの住環境」を求めると、それなりに費用がかかります。例えば、一般的なコンドミニアムの家賃は1ベットルームで約P15,000~P40,000(約4万円~10万円)、安定した所得、貯蓄があれば日本よりも低価格でプール付きの一軒家やコンドミニアムに住むことも可能で快適に過ごすことができます。

因みにプール付き一軒家は、家賃15万ペソ(約40万円)/月以上から。セブシティーはオシャレなカフェやレストランも充実しており、マクタン島にはリゾートホテルが点在しています。経済的に余裕があれば、不自由なくのんびりとしたリゾートライフを過ごすことができます。
④ 海外での仕事・収入源を確保できる人
セブには日本人向けの仕事(留学関連、IT、観光、飲食など)もありますが、リモートワークや投資など、安定した収入を確保できる人の方が、安心して暮らせます。
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⑤ 家族や子どもと一緒に海外で暮らしたい人
セブにはインターナショナルスクールが多く、親子移住者も増えています。日本の教育と異なる点も多いですが、英語環境で子育てしたい家庭には向いています。
セブ島移住に向かない人の特徴
① 「日本の便利さ」を求める人
日本のように「時間通り」「サービスが丁寧」な生活を求めると、ストレスがたまります。特に、水道やインターネットの不安定さ、渋滞のひどさなど、日本では考えられない不便さもあります。
② 低コスト移住を考えている人
「フィリピン=物価が安い」と思われがちですが、インフレ・円安の影響も含め、実際は日本人が快適に暮らせるエリアはそこまで安くないのが現実。安く済ませようとすると、治安や衛生面でのリスクが高くなることも…。安さだけを期待するとギャップに苦しむかもしれません。
セブ島と日本の物価比較 2024最新版|フィリピン移住の前に知っておくと便利な現地の物価情報
③ 治安の悪さが気になる人
セブはフィリピンの中では比較的安全ですが、日本と比べるとスリや詐欺などの軽犯罪が多いです。夜に一人で歩く、スマホをむき出しで使うなど、日本の感覚で過ごすとトラブルに巻き込まれる可能性があります。
セブ島の治安は良い?悪い?危険?それとも安全?ネットで噂の問題に在住者が徹底解説
④ ビザや手続きが面倒に感じる人
フィリピンのビザ制度は比較的緩やかですが、それでも滞在ビザの延長や手続きは必要。現地の役所は手続きが遅く、想定以上に時間がかかることもあります。
⑤ 健康面で不安がある人
フィリピンの医療レベルは年々向上していますが、日本と比べるとまだまだ不十分。日本人向けの病院もありますが、費用は高め(例:風邪の診察+薬で約1万円)。健康に不安がある人は、日本の健康保険が使えない点も考慮が必要です。日系病院の診察費は1回P2,500~P5,000以上。
フィリピン・セブ島の医療・入院・診察 海外保険に加入しない場合の医療費はいくら?
セブ島移住のリアルな費用(生活費)
※ビザ費用や学費は除く
①単身者の場合
項目 | 費用(月額) |
---|---|
家賃(コンドミニアム・1K/1LDK) | 15,000ペソ〜30,000ペソ |
水道・光熱費 | 3,000ペソ~ |
インターネット・携帯 | 2,000ペソ~ |
食費・飲料水 | 5,000ペソ |
交通費 | 1,500ペソ~ |
娯楽・外食 | 10,000ペソ~ |
合計 | 約36,500ペソ~ |
参考フィリピン・セブ島での1ヵ月の生活費はいくら?1人暮らし編
②生活費の目安(夫婦2人の場合)
項目 | 費用(月額) |
---|---|
家賃(コンドミニアム) | 25,000ペソ~80,000ペソ |
水道・光熱費 | 5,000ペソ~ |
インターネット・携帯 | 3,000ペソ~ |
食費 | 10,000ペソ~ |
交通費 | 2,000ペソ~ |
娯楽・外食 | 20,000ペソ~ |
合計 | 65,000ペソ~ |

1人暮らしの場合、現地ローカル生活(ローカル食・ローカルエリア住まい)なら25,000ペソ(6万5千円)ほどでも可能!ただし、最低限の快適な暮らしを求めるなら最低45,000ペソ以上(約12万円)以上は必要。日本と比べると安いですが、「日本人向けの快適な生活」を求めると意外とコストがかかることも!
参考セブ島と日本の物価比較 2024最新版|フィリピン移住の前に知っておくと便利な現地の物価情報
フィリピン移住に必要なビザの種類と費用
フィリピンの主なビザは、大きく分類すると以下6パターン
①観光ビザ(最大3年滞在可能)
フィリピンは、長期滞在のハードルが比較的低い国の一つで、日本人は観光ビザ(ビザ・オン・アライバル)を利用して最大3年間滞在することが可能です。ただし、継続的な滞在には定期的なビザ延長手続きが必要になります。
観光ビザの基本情報
初回入国時のビザ(30日間の滞在許可)
観光ビザの延長スケジュールと費用
フィリピンでは、観光ビザを1ヶ月~2ヶ月ごとに更新することで、最長36ヶ月(3年間)の滞在が可能です。
- 日本人はビザなし(Visa-Free)でフィリピンに入国可能。
- 入国時に30日間の滞在許可が自動で与えられる。
- 滞在延長を希望する場合は、フィリピン入国管理局(Bureau of Immigration)で延長手続きを行う。
延長期間申請費用の目安(ペソ)
1回目の延長|31日目から59日目までの延長(29日間の延長):約3,030ペソ
2回目以降の延長|60日目から89日目までの延長(30日間の延長):約4,140ペソ
*ACR I-Card(2ヶ月以上滞在する場合):約4,000ペソ
観光ビザでの滞在の注意点
- 観光ビザでは就労・ビジネスが禁止:フィリピン国内で働く場合は就労ビザ(9Gビザ)または特別就労許可(SWP)が必要。
- フィリピンに6ヶ月以上滞在した場合、出国義務はないが、出国する際は事前にECC(Emigration Clearance Certificate)の取得が必要。
- 滞在期間オーバー(オーバーステイ)のペナルティ:オーバーステイが長期間に及ぶと、ブラックリスト入りし、最悪の場合はフィリピンへの再入国が禁止されることもある。
観光ビザのメリット
- 就労ビザなどの取得なしで最長3年滞在できる
- 3年経過後は一度フィリピンを出国し、再入国すればまた最長3年間の観光ビザを取得できる(いわゆる「ビザラン」)
- リタイアメントビザ(SRRV)よりも初期コストが安い
観光ビザのデメリット
- 2ヶ月ごとのビザ延長手続きが面倒(定期的に入国管理局へ行く必要あり)
- 現地で働くことができない(フリーランス・副業もグレーゾーン):観光ビザでの仕事(現地就職・フリーランス含む)は法律で禁止されています。
- 滞在期間が6ヶ月を超えるとECC(出国許可証)が必要
こんな人に観光ビザが向いている!
- リモートワークや投資で収入がある人(フィリピン国内で働かない人)
- FIRE(早期リタイア)やセミリタイアを考えている人
- お試し移住をしたい人(いきなり永住ビザを取るのは不安な人)
- 留学や趣味で長期滞在したい人 「とりあえずセブ島に住んでみたい!」という人には観光ビザが最適!
こんな人には観光ビザは向かない!
- フィリピンで仕事を探したい人(現地就職希望者)
- 現地でビジネスをしたい人(会社設立・投資活動をしたい人)
- 頻繁なビザ更新が面倒な人(2ヶ月ごとの手続きが負担になる人)
- 家族と一緒に安定して暮らしたい人(長期的にはSRRVや就労ビザの方が安心)
仕事をするなら就労ビザ(9Gビザ)、リタイア目的ならSRRVの方が向いている!
②永住権・リタイアメントビザ(SRRV)
特別居住退職者ビザ(Special Resident Retiree’s Visa / SRRV)
- 一定額の預金または投資を条件に、長期滞在可能
- 取得のハードルが低い・他国と比べて預託金が低く(1万USD~5万USD)で取得しやすい
- 50歳以上で申請可
- AEP(労働局の外国人就労許可書)を取得することで就労が可能
クオータビザ(Quota Immigrant Visa )永住権
- 限られた外国人(年間50人まで)が対象:フィリピンでも最高位の永住権であるクオータビザ(特別割当移住査証)は、日本人を対象に1年で定員50人のみに取得が許される特別ビザ
- クオータビザは20歳以上であれば申請が可能
- 一定の資産証明が必要
- 一度取得してしまえば、永久にフィリピンに滞在でき、就労も可能です。
フィリピンで投資や移住を考える方へフィリピンへ移住する方法は?リタイアメントビザの取得方法「4つの永住権」を比較
③就労ビザ/PEZAビザ(Work Visa / 9G Visa)
就労ビザ(9G Visa)
原則1年以上勤務する必要があり、途中退職すると会社に大きな損害を与えるため、バイト感覚では就職できない。
取得には約20万~30万円のコスト(通常は会社負担)
PEZAビザ
PEZA認定企業で働く外国人が取得できる特別な就労ビザです。通常の9G就労ビザ(Work Visa)とは異なり、手続きがスムーズで、取得しやすいのが特徴
- PEZA認定企業に雇用されていること
- 外国人雇用の必要性が認められること(フィリピン人では代替できないポジション)
- 通常の9Gビザより取得が簡単(PEZAがサポート)
- フィリピン労働省(DOLE)のAEP(外国人就労許可)不要
④投資家・ビジネスビザ(9D/SIRV)
投資家ビザ(Special Investor’s Resident Visa / SIRV)
- フィリピン政府指定の事業に一定額以上の投資が必要
- 外国人投資家(21歳以上)がフィリピンに長期滞在しながら投資活動を行うことを目的としたビザ
- フィリピン証券取引所に上場されている企業や政府が指定したプロジェクトに、最低投資額が必要です。通常、最低投資額は75,000US ドル。
SIRVビザ(Special Investor's Resident Visa)取得方法
条約投資家ビザ(9D / Treaty Trader or Treaty Investor Visa)
- フィリピンでビジネスを行う外国人向け(申請者は日本、アメリカ、ドイツのいずれかの国籍を有していること)
- 一時的な商談や取引のための滞在に適用
- 条約商人(Treaty Trader):申請者が所属するフィリピン企業が、申請者の母国(例:日本)との間で相当額の貿易を行っていること。
- 条約投資家(Treaty Investor):申請者自身がフィリピン企業に一定額以上の投資を行い、その企業の経営に関与していること。
⑤学生ビザ(Student Visa / 9F Visa)
- 18歳以上であること(18歳未満は特別学生許可証 [SSP] が必要)
- フィリピン政府(入国管理局)に認定された教育機関に正式に入学すること
- 入学許可証(学校からの正式な承認書)が必要
⑥結婚ビザ(13A Visa)
- 申請者は フィリピン人と合法的に結婚 していること
- 申請後は フィリピンに継続的に滞在 することが求められる
- 最初は 1年間の仮永住ビザ(Probationary) が発行され、その後 正式な永住ビザ へ更新可能
- 13Aビザ保持者は、 就労許可(Alien Employment Permit, AEP)なしで合法的に働くことができます。
- フィリピン国内の企業での雇用、または自営業・ビジネス運営も可能です。
※ただし、特定の職業(医師、弁護士など)はフィリピン人のみが従事できるため、職種によっては制限がある
親子移住の現実:教育環境と意外な出費
セブ島には多くのインターナショナルスクールや日本人向けの学校があり、子連れ移住を検討する日本人家庭も増えています。日本とは異なる教育環境や文化の違いがあるため、事前にしっかり理解しておくことが大切です。

① 教育の選択肢と学費
セブで子どもを通わせる主な学校の選択肢は以下の通りです。
学校の種類 | 特徴 | 学費の目安(年間) |
---|---|---|
インターナショナルスクール | 国際的な教育を希望する場合:カリキュラムは英語。IB(国際バカロレア)認定校もあり、欧米基準の教育が受けられる。
| 20万ペソ~120万ペソ |
プライベートスクール | コストを抑えつつ英語教育:プライベートスクールは、公立学校よりも質の高い教育を提供しながら、インターナショナルスクールほど学費が高くないのが特徴。 | 8万ペソ~20万ペソ |
公立学校 | 授業は英語またはビサヤ語(現地語)。外国人にはハードルが高い。フィリピン政府が運営する学校で、主に現地のフィリピン人学生が通う
| 無料(教材費など別途) |
「英語環境で学ばせたい!」と考えるなら、基本的にインターナショナルスクールの選択が現実的。ただし、学費は日本の私立と同等かそれ以上になることも。
② 日本と違う学校文化:イベント&誕生日パーティーが多い!
フィリピンの学校では、日本よりもイベントや誕生日パーティーが頻繁に開催されるのが特徴です。クラスメイトの誕生日パーティーは、学校で開催するのが一般的。親がケーキやお菓子を準備し、学校でお祝いすることも多い。

参考フィリピンの誕生日パーティーに招待されたら?セブ島移住初心者必見!
イベント(クリスマス、ハロウィン、文化祭など)が頻繁にあるため、そのたびに衣装やプレゼントなどの費用が発生する。
バザーや募金活動があり、学校から「寄付をお願いされる」ことも。
こうした学校文化の違いにより、日本の公立校と比べて思わぬ出費がかさむことも。
③ 現地の教育レベルと適応の難しさ
セブのインターナショナルスクールでは英語が基本なので、最初は子どもが言葉の壁にぶつかることもあります。特に、英語初心者の子どもは最初の半年~1年は苦労する可能性が高いです。
また、フィリピンの教育は「詰め込み型」が多く、宿題の量が多い。
「自己主張を重視する文化」があり、日本の学校とは授業スタイルが異なる
といった違いもあります。
日本の学校とは教育方針が違うため、合う・合わないが分かれる点に注意!
④ 子どもにとってのメリット・デメリット
メリット
- 英語が自然に身につく(英語環境に浸れる)
- 異文化に触れる機会が多い(国際的な視野が広がる)
- のびのびした校風(学校によるが、自由度の高い教育も)
デメリット
- 学費やイベント費用など、教育コストが高い
- 英語が話せないと最初の適応が大変
- 日本式の教育とは異なり、授業や試験のレベルがまちまち

まとめ:子連れ移住は事前準備がカギ!
セブ島での子どもの教育は、選択肢が豊富な一方で、学費やイベントの出費、英語環境への適応など、日本とは違う課題もあります。
お試し留学(短期間通わせてみる)
学費や学校の文化をしっかりリサーチ
子どもの性格や適応力を考慮
これらを慎重に考えた上で、本当に子どもに合った環境かどうか見極めることが大切です!
まとめ:セブ移住を後悔しないために
セブ島移住は、向いている人には最高の環境ですが、向かない人にはストレスが多いのも事実。移住を考えるなら、「現地の生活スタイルに適応できるか?」をしっかり考えることが大切です。
また、実際に移住する前に1ヶ月ほどお試し滞在をしてみるのもおすすめ!そうすれば、「理想と現実のギャップ」に気づき、後悔のない選択ができるはずです。
もし具体的に移住サポートを受けたい場合は、現地のエージェントや移住者コミュニティを活用するのもアリ!あなたにとってベストな移住ライフを叶えましょう
