フィリピン財閥企業?分かりやすくフィリピンの財閥事情を解説
その国の経済を語る上で「財閥企業」はとても重要な部分を占めます。フィリピン経済においては「財閥企業」が持つ力が他のアジア国と比べて大きく、国を発展させるためのさまざまな社会インフラに関与しています。今回は、そんなフィリピンの財閥企業についてご紹介します。
1.財閥企業とは?
財閥企業とは社会公共インフラ(ガス・水道・道路)や都市開発または銀行などの根幹経済を運営する「資本力のあるお金持ちの一族・企業グループ」のことを示します。フィリピンでは市場を独占する財閥企業は数多くあり、その力は年々大きさを増しています。
2.フィリピン財閥企業の凄いところ
①フィリピンの財閥企業はフィリピン経済の約3割を占めている!
フィリピン経済での財閥企業が占める「総資産」は約35%、フィリピン経済での財閥企業が占める「時価総額」は約24%と言われています。
市場全体の約3割を占めていますが、この影響度はあくまでも財閥企業だけの「総資産」「時価総額」の結果ですので、サプライヤーやベンダーなどを含めると全体の約5割を財閥関連グループが占めているのではないかと言われています。
②Holding Firmsという財閥の投資セクターがある!
財閥による影響により、フィリピンは他の東南アジア諸国と比べて国内の上場企業の数が非常に少なく、株式市場では「不動産」・「金融」・「製造業」などとは別に「財閥」セクターが存在します。「財閥」セクターはHolding Firmsと言われており37社で構成されていて、アヤラランド社やGTキャピタルなどの超有名企業が名を連ねています。
※Holding Firmsには以下のような財閥企業が含まれます
・Vista Land&Lifescapes,Inc ビスタランド社(不動産)
・san miguel corporation サン・ミゲルコーポレーション(製造業)
・Jollibee Foods Corporation ジョリビーフードコーポレーション(ファーストフード)
・Lopez Holdings Corporation ロペスホールディングス社(電気通信)
3.フィリピン富豪ランキングは財閥企業のトップが占めている?
フィリピン経済=財閥企業と言っても過言ではありません。2023年に発表された「フィリピン富豪ランキング」では下記のようにTOP3は全て財閥から選出されています。
1位 Sy family Teresita Sy-Coson(テレシタ・タン・シー) 144億米ドル(約2兆1,600億円) SMグループを運営するフィリピンで最も裕福なSyファミリーの元会長 現在は娘のTeresita Sy-Coson(テレシタ・タン・シー)が資産を相続しています。
2位 Manuel B Villar(マヌエル・ビリヤール) 97億米ドル(1兆4,550億円) Vista Landを運営するVillarファミリーとして有名なフィリピンの不動産王
3位 Enrique Razon Jr.(リッキーラゾン) 81億億米ドル(1兆2,150円) 「港湾王」と呼ばれるマニラ水道会社 (MWC)の会長 |
フィリピンの富豪TOP3は1兆円を超える資産を保有していて、
1位のSyファミリーは世界の長者番付にも選出されています。
参照データ:
https://www.forbes.com/lists/p...
4.1兆円越え?フィリピン財閥企業の時価総額ランキング
2024年現在の財閥企業の時価総額ランキングは次のとおりです。
1位SM Investments Corporation SMインベストメントコーポレーション 1兆1,000億ペソ (2兆7,500億円) 1兆ペソを超えるフィリピン一番の巨大企業で、小売・不動産・銀行業務・ポートフォリオ投資事業から収益を上げています。
2位SM Prime Holdings, Inc. SMプライムホールディングス社 9,680億ペソ(2兆4,200億円) SM プライム ホールディングスはSMグループの不動産部門で、モール・住宅・商業ビル・ホテル・コンベンションセンターから利益を生み出しています。
3位BDO Unibank, Inc. BDOユニバンク社(BDO) 7,320億ペソ(1兆8,300億円) BDO Unibank はフィリピン最大の銀行です。香港とシンガポールの海外支店を含む 1,700 の銀行支店を擁しています。
4位Bank of the Philippine Islands バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ社 5,620億ペソ(1兆4,050億円) BPIは、Ayala グループ企業の銀行事業部門です。東南アジア地域で最初の銀行であり、1,173店の銀行と東京、香港、ドバイに駐在員事務所のネットワークを持っています。
5位Ayala Land, Inc. アヤラランド社 5,080億ペソ(1兆2,700億円) アヤラランド社はフィリピン第2位の不動産開発会社です。住宅・商業・ショッピングモール・オフィスビル・ホテル・リゾートの多様なポートフォリオを持っています。 |
世界銀行の最新見通しによると、フィリピン経済は2024年に5.8%成長すると予測されているので、ランキングでご紹介した財閥企業は今後も業績を伸ばすとフィリピン国内で期待されています。
参照データ:https://dailypik.com/biggest-c...
5.まとめ
以上がフィリピンの財閥事情の解説となります。フィリピンの財閥企業は、今後もフィリピン経済の牽引役として、成長を続けると考えられます。今後は財閥企業によって、フィリピン国内の格差問題に歯止めがかかり、フィリピン国内の人々の暮らしがより豊かになっていくことを願います。