アナログな日常から「リープフロッグ型発展」へ
フィリピン・セブ島は今、経済の「高度成長期」の真っ只中にあります。街の景色は活気に満ち溢れていますが、その裏側では、技術革新による大きな変革が進行中です。
日本では数十年かけて段階的に進んだデジタル化や近代化を、フィリピンは一気に飛び越えようとしています。これが「リープフロッグ(カエル跳び)型発展」です。固定電話を経ずにスマホが普及したように、アナログな労働環境から、一気にAI・自動化の世界へとシフトし始めているのです。

この急激な変化は、日本にはないユニークな仕事の消滅を意味すると同時に、巨大なビジネスチャンスと新たなリスクを生み出しています。
1. 職種別徹底比較:セブ島で消えゆく仕事と生まれる技術
AI化の影響は、街角の仕事からオフィスワークにまで及びます。ここでは、セブ島特有の仕事がどのように置き換わるのかを「現在」と「近未来」の対比形式で比較します。
交通・生活
ジプニーの呼び込み(barker)
- 【現在のアナログな日常】 大声で行き先を叫び、運行を調整する。フィリピンの活気の象徴。
- 【近未来の変化】 「アプリ管理・バス化」へ。運行管理のデジタル化や電子決済が進み、集客のための呼込み職は不要に。
建物のガードマン(Guardya)
- 【現在のアナログな日常】 コンビニから薬局まで、全ての店先でドア開閉と簡単な警備を行う。
- 【近未来の変化】 「AIカメラ・自動ゲート」へ。人件費高騰とセキュリティレベル向上のため、無人監視システムが主流に。
電気・水道の検針員
- 【現在のアナログな日常】 毎月訪問し、目視でメーターの数値をチェックする。
- 【近未来の変化】 「スマートメーター」へ。 遠隔データ送信が可能となり、訪問検針業務が不要に。
小売・店舗
スーパーの袋詰め(Bagger)
- 【現在のアナログな日常】 レジ係とは別に専属スタッフが商品を丁寧に袋詰めする。
- 【近未来の変化】 「セルフレジ・自詰め」へ。コスト削減とエコ意識の高まりで、客が自分で詰めるセルフ方式に移行。
営業・事務
不動産・営業
- 【現在のアナログな日常】 ショールームや店舗内での勧誘、対面での営業活動が主流。
- 【近未来の変化】 「AI集客・VR内見」へ。 AIが最適な客を見つけ、VRで物件を案内。単なる物売りは淘汰され、コンサル型営業が生き残る。
観光・旅行
ツアー手配代理店
- 【現在のアナログな日常】 路上や小さな店舗で、価格交渉をしながら対面で予約・手配を行う。
- 【近未来の変化・二極化が進む】 単なるチケット予約は「アプリ・AI」で完結し、手数料を取るだけの仲介業者は消滅します。 一方で、「人間のコンシェルジュ」の価値は急上昇します。「子供が急に熱を出した」「サプライズで特別な演出をしたい」といったAIでは対応しきれない細やかな要望やトラブル対応ができる人材は、富裕層向けの高付加価値サービスとして重宝されるようになります。
BPO(IT)
コールセンターオペレーター
- 現在のアナログな日常】 簡単な問い合わせやデータ入力も、大量の人員による人海戦術で24時間対応。セブ島雇用の中心。
- 【近未来の変化】「AIチャットボット・自動応答」へ。 単純なQ&Aや「レベル1」業務はAIが即座に解決。人間は複雑なクレーム対応や高度な判断が必要な業務へシフトし、単純労働の枠は激減。
2. AI化の光と影:推進派・反対派の視点とリスク
AI化・デジタル化はセブ島に恩恵をもたらす一方で、インフラの脆弱さという大きなリスクを抱えています。
賛否両論:「AI時代のセブ島」を巡る3つの視点
| 立場 | 主張(見解) | 具体的な論点 |
|---|---|---|
| 推進派 (政府、大手企業) |
「経済成長と効率化」 AIはフィリピンを貧困から救う。 |
競争力向上、環境改善(E-Jeepney導入など)。 |
| 反対派 (労働者) |
「雇用の危機と文化の喪失」 低スキル労働者が職を奪われる。 |
雇用創出の鈍化、人間的な交流の喪失。 |
| 中立的立場 (学者、コンサルタント) |
「管理と政策の必要性」 リスクをコントロールし、恩恵を最大化すべき。 |
職を失う層へのリスキリング(再教育)投資、倫理的枠組みの整備。 |
デジタル化の落とし穴:脆弱なインフラが生むリスク
- 「停電(ブラウンアウト)」による全機能停止という脆弱性:
どれだけ便利なアプリが普及しても、停電(ブラウンアウト)や通信障害でシステムが止まれば、電子決済やAIサービスは一瞬で無力化します。アナログな「現金」や「人の手信号」がなければ、都市機能が完全に麻痺してしまうリスクを抱えています。 - 通信障害による機会損失:
ネットが不安定なため、スマホ決済時にアプリが開かず、結局レジが混むなど、効率化が逆効果になることもあります。 - 雇用の受け皿不足による貧困の拡大:
職を失った低スキル労働者への再教育(リスキリング)が追いつかず、デジタル・ディバイド(格差)が拡大する懸念があります。
3. 日本企業のチャンス:不便さとリスクの中に眠るビジネスの原点
AI化の過渡期であり、インフラに弱点がある今だからこそ、日本企業には他にないチャンスがあります。
- インフラ補強ビジネス:
AIを支える「安定電源供給システム」や、「オフラインでも動作する決済・業務システム」といった、インフラの弱点を補う技術は、現地で最も求められるソリューションです。 - 高付加価値サービスの提供:
AIに代替されやすい業務ではなく、「信頼」を売るコンサルティング型営業や、日本式のきめ細かいメンテナンス技術など、専門性が求められるサービスに集中すべきです。
4. AI時代だからこそ際立つ「人の温かさ」という価値
予約がアプリになっても、最後に顧客満足度を決めるのは「人」です。
AIは完璧なプランは作れても、旅の思い出(笑い、共感、安心感)、「言葉にできない空気感を読む」ことや「不測の事態に寄り添って安心させる」ことはできません
特に観光業やサービス業においては、デジタル化が進むほど、「あえて人間に対応してもらうこと」が贅沢な体験(ラグジュアリー)となります。
またセブ島のようなリゾート地では、旅行者は「効率」よりも「非日常の体験」や「安心感」を求めています。
フィリピン人の持つホスピタリティと人間力は、効率化された社会でこそ輝く最強の資産であり、AIには決して模倣できないビジネスの成否を分ける最後の砦となります。




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